ご新居の庭の植栽プラニングをさせて頂きました。
芦屋には植栽補助制度があり、家を新築する段階で申請すると植物を植える予算に補助金が出るそうです。街の緑化を進めるのにとても有効的ですね。住まいと庭は一つで「住居」と考える私たちガーデンプランナーにとっては大変嬉しい制度ですので、是非全国に広まって欲しいと願います。
建築段階から庭に植えるシンボルツリーのご相談を伺っていたので、オーナーさんご夫婦の好みに合うものをリストアップしてお勧めしていました。写真は施工後に初めて伺った時のもので4本の樹木が植わっていました。(左から順番にヤマボウシ、ジューンベリー、トネリコ、エゴノキ)
樹木の配置は外構業者さんです。外からの目線を考えて窓の前に植え込んだのだと思いますが、全体的に左寄りの配置となっているので、敷地の右側にも植物の存在を広げたくなります。
建物は全体的にシックな色目でまとまっており、植物が馴染むとより素敵な住まいになりそうです。用意された植栽スペースは、ヤマボウシの後ろにある玄関横のブロック部分、テラス前のエゴノキの足下部分、門柱前の横に細長い部分の三箇所です。初めて庭に伺った時、土壌は真砂土でとても硬くどのスペースも植物を植えれる状態に整っていませんでした。
このように、用意された植栽スペースの条件が整っていないケースはとても多く、庭を作る私たちの悩みとなっています。土が硬いだけでなく、植え込む深さや幅が不十分な事も多々あります。こういった場合には、植え付け時に最低でも50cmは地面を掘り返し、腐葉土をたっぷりと混ぜ込んだり土を入れ替えるといった作業が必要になります。そうする事で植物が成長した時に、根が栄養分を含んだ柔らかい土に触れる事ができ、十分に大きく成長できるので、本来の魅力を発揮した素敵な表情を見せてくれます
ただ、土を入れ替える作業はかなりの重労働です。植物を植え込むのに最適な土壌とスペース作りを新築工事の段階で外構業者さんが進めてくだされば、庭づくりにかける予算や土を処分する手間も省けます。最初からガーデンプランナーと施工業者が協力して一緒に庭づくりを進める事ができるようになるといいですね。
ここのお庭へは2月頃、5月頃、10月頃、12月頃と季節ごとに伺って、植物が順番にめぐりゆくサポートをしています。今年で通わせてもらって3年ほど。環境に適した植物が根付き、建物と庭とが馴染み合う住まいへと成長しつつあります。
玄関横に植え込んだモッコウバラは2階に届くほど成長して、春は見事に花を咲かせます。オーナーさんの大好きなアジサイ’アナベル’もたくさんの花を付けるようになりました。壁や塀と地面との境界線が植物で繋がったことで、硬い冷たさが減り、柔らかで暖かい雰囲気へと変化してくれました。
お花が大好きな奥さまなので、季節感が感じれる宿根草や球根を多く植えています。家事とお仕事の両立をされていますが、手の込んだお料理をこまめにされるとても丁寧なお人柄です。ローズマリーやタイムといった簡単に使える利用価値の高いハーブを常緑植物として選んび、暮らしに取りいれてもらえるようにしています。
宿根草や球根を多く植えた庭は刈り込みなどお手入れの手間は植えますが、年間を通して様々な表情を見せてくれるので、春の訪れや冬の足音を感じることができる理想のお庭です。
昨年、とても可愛らしい女の子が誕生されご家族が三人になりました。
毎日少しづつ変化する植物の形や色や香り。家の中から眺める何気ない景色が植物で溢れていると、自然と植物が身近な存在になりお花が大好きな心優しい女の子に成長してくれそうですね。
これから先、お庭が子どもさんの成長を見守る大きな存在となってくれますように。